2015年1月アーカイブ

報告?東アジア合同能動学習2014(沖縄)

2014年秋期、本プロジェクトの一環として本学で開講された授業「アジアの学生と歩く、東アジア歴史的コンフリクトの現場2014」(担当:柏崎正憲)が、2015年1月6日から10日にかけての沖縄合同スタディツアーをもって完了しました。

本授業は、テーマにかんする学生の能動学習(active learning)の、つまり自主研究、プレゼンテーション、討論、フィールドワーク等の機会提供を目的としております。

また特色として、本学協定校である中国の寧波大学、韓国の韓信大学校および聖公会大学校をパートナーとして、中国、韓国の学生との国際合同授業という形式をとっております。

【目的と主題】

本授業の目的は、東アジアにおいても地域内または国家間の摩擦や緊張が高まるなか、現に起きている対立を無視しながらの交流や友好ではなく、問題の歴史的背景をきちんと学びながら、あるべき解決に向けての議論を重ねていく経験を、学生が積むことです。

この目的を踏まえ、2014年度は、東アジアの歴史的コンフリクトが凝縮された場としての沖縄を、学習テーマとして設定しました。

なお、本授業の企画?運営にあたっては、沖縄大学客員教授の又吉盛清先生、那覇市および名護市の関係者の皆さまに、多大なご協力をいただいております。

【事前学習】

全大学共通の導入講義を経て、三カ国?四大学の学生たちは、2014年9月から10月にかけて、沖縄および東アジアの近現代史について自主研究し、また11月から12月には、ビデオ通信機器で四大学をつないで相互プレゼンテーションおよび討論を行いました。

意見交換の場では、「琉球処分」と呼ばれた琉球王国の併合、沖縄戦の記憶、戦後の軍事基地問題や、また沖縄をとりまく諸国間の領土問題について、「日本史」の枠内では抜け落ちがちな着眼点を中国や韓国の学生から与えられ、日本の学生が気づきを得る場面もありました。

こうした学習過程をつうじて、東アジア地域における文化的交流の中心点としての沖縄(琉球)の像が、かいま見えてきたといえます。

本授業は読売新聞社の取材を受け、2015年1月7日、東京都?多磨にてご紹介いただいています。

【スタディツアー】

1月6日から10日、三カ国?四大学の学生たちが沖縄で一同に会し、又吉盛清先生のご指導のもと、フィールドワークをおこないました。

首里城などの史跡では、東アジア諸国と沖縄(琉球)との歴史的関係の痕跡を発見し、沖縄戦の施設や碑では日本への併合後における沖縄近代史の苦難と矛盾をたどりました。

また現地市民との交流の場をもつことをつうじて、軍事基地問題をめぐる沖縄の最近の情勢を目のあたりにしました。

初日の泊外人墓地訪問のさいには、又吉先生のお取り計らいと那覇市の皆さまのご協力を得て、墓前祭がを催されました。

墓地内で最も中国人墓6基のうち、1718年の墓は寧波出身者のものであるところ、今回、寧波大学の学生が墓地に訪問したという、約300年振りの同郷者の「再会」を記念する行事として、執り行われたものです。

フィールドワーク後、最終日前の夜には、学生たちは調査成果を共同レポートにまとめました。

互いの言語を用いながら、あるいは相手の言語の分かる友人に通訳を頼みながら、ホテルで遅くまで討論する姿が、印象的でした。

反映された論点は、沖縄世論と日本「本土」世論との隔たり、異なる文化への理解と敬意にもとづいた平和や共生、戦争の記憶を非当事者が継承していくための方法、対米関係をふくむ国際関係についての広い視野の必要性、等々。

異なる着眼点や意見にも互いに耳を傾けながら、なんとか一つの報告書にまとめるという、難しいながらも貴重な経験を、学生たちは得ることができました。

最後に、参加した学生たちが、今後も、沖縄への理解を深め、東アジア地域の歴史を見つめなおし、ありうべき将来について構想していくことを期待しつつ、本授業の完了報告といたします。

【本授業のメディア報道】

1月5日 沖縄タイムス朝刊 (6日?泊墓前祭告知)

1月7日 沖縄タイムス朝刊 (6日?泊墓前祭報告)

1月7日 読売新聞朝刊?東京都多磨版 (11~12月?相互プレゼンテーション)

1月9日 琉球新報朝刊 (8日?名護市辺野古視察)

1月17日 読売新聞朝刊?東京都多磨版 (本授業完了の報告)

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