国際日本学

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教員インタビュー

朴容九 PARK Yong Koo

役職/
Position
大学院国際日本学研究院 元特別招へい教授
研究分野/
Field
日本文化

【English Page】

異文化コミュニケーションを通して韓日間の理解を深める

1.研究内容及び東京外大での講義

最近、韓日関係がかなり冷え込んでおります。「歴史と領土」問題のせいと思われますが、その発端は1982年に起きた歴史教科書歪曲の影響だと記憶しています。当時、大学2年生だった私はなぜこんな問題が起きたのか疑問を抱きました。後日、答えを追求する過程で史実と解釈という両面を考えるようになりましたが、結局、史実より解釈をめぐる対立だという結論に至りました。議論の時、様々な資料が動員されますが、同じ資料について正反対の解釈が行われます。その根底には相互不信感が募っていました。ゆえに私は韓日間の相互認識について関心を持ち、両国間の相互認識のずれとその背景を研究してきました。さらに、この問題は中国を踏まえた東アジア的観点から研究しなければならないと思い、「韓日中三国の相互認識」を集中講義の題目としました。

もう一つの講義は「21世紀の日本人論」です。韓日間の相互認識を研究するうちに、韓国人と日本人は「似て非なるもの」があると切実に感じられました。よって、日本人の考え方や行動様式を取り扱う日本人論に自然と目が向き、のめり込んでしまいました。特に「21世紀」という言葉を使った理由は、「日本人は集団主義的だ」という従来の日本人論のパラダイムは役目を終えたと思うからです。現在は「韓日中三国の相互認識」より「21世紀の日本人論」に集中しております。しかしながら、いずれにせよ韓日間の誤解を払拭し、理解を深めることによって両国間のコミュニケーションを円滑に進めたい目的は変わりません。

2.日本発信力の強化のため必要なもの

日本の歴史をたどると外来文化の受容とその土着化の過程が顕著に見られます。主に古代までは韓国や中国、近代まではヨーロッパ、現代ではアメリカから色んな文化を受け入れ、見事に日本独自の文化を創り出しました。日本はかつてない経済大国としてそれにふさわしい豊富なコンテンツも兼ね備えています。だから国際社会における日本の発信力を強化しようとする動きは当然のことでしょう。しかしながら発信力を高めるために重要なのは発信のコンテンツです。なぜなら送り手がいくら発信しても、発信力が高まるか否かは受け手の選択によるものだからです。したがって受信と土着化による日本独自の文化の創出という得手を上手く活かしながら、世界にも通用する発信のコンテンツを磨く必要があります。日本と世界の交信という面で世界有数の研究者が一堂に会するCAASユニットのご活躍も期待するところです。

3.東京外大および学生に対しての印象

そんなに広くは見えませんが輪のようにつながっている建物の配置はとても印象深かったです。お陰様でにわか雨のある日、雨に降られず研究室から宿舎の国際会館まで帰ることができました。世界各国から来ている数多くの留学生にも会えるし、ますます増えるアウトバウンドの留学生数においてもグローバル大学へ変貌している様子が感じられます。ゼミの院生はみんな海外生活の経験を共有しているし、さらにそんな経験にもとづいた自分の考えを活発に披露してくれました。図書館でじっくりと勉強する学生もいる反面、グラウンドで多様な運動を楽しんでいる学生も目立ちます。まさに国際色豊かな小さくて強い「グローバル強小大学」ではないでしょうか。

4.海外からみて、日本のいいところ、足りないところ

韓国人の対日イメージには「日本人」は「親切、勤勉、礼儀正しい」だが、「日本国」は「軍国主義、国家主義、覇権主義」だという両面性が併存しています。日本国より日本人にもっと親近感を感じる点で同感する次第です。ただ、専門分野の日本人論から一言いわせてもらいますと、言葉よりムードによるコミュニケーションを好む日本人の高文脈文化は外国人にはちょっときついかもしれませんね。

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