国際日本学

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教員インタビュー

中井 陽子 NAKAI Yoko

役職/
Position
大学院国際日本学研究院 教授
研究分野/
Field
日本語学、日本語教育学

会話データの分析で 日本語での自然なやり取りのコツをつかむ

 専門は日本語教育で、特に会話データの分析と会話教育を中心に行っています。近年は会話データ分析の社会的貢献の可能性についての研究も手がけています。

 会話データ分析に興味を持ったのは、アメリカの大学院に留学した時でした。会話には暗黙のルールのようなものがあって、実際のやりとりを詳細に分析することで、上手くコミュニケーションをとる秘訣や、非母語話者がつまずきやすい点などが把握できます。教える側で役立てようと始めた研究ですが、その後は、学習者側の立場からの視点、つまり学習者が自身の会話を客観的に見ることで自己分析の能力を身につけ、教師なしでも自律的に会話能力を伸ばしていけるようにするという点にも関心があります。

 こうした会話データ分析から得られる知見を留学生に対する会話教育に何とか活かせないかと、これまでさまざまな実践と研究を行ってきました。例えば、私がかつて行っていた会話授業では、日本語の母語話者と非母語話者の会話のビデオを見てもらい、「お寿司を食べました」に対して「ふーん、お寿司」と繰り返すのと「えっ、お寿司。どこで?」と質問を加えるのではどのようにニュアンスが異なるかなどについて、学習者に考えてもらったりしました。このように、学習者自身が会話データ分析を行うことにより、日本語で自然にやり取りする際のコツをつかんでもらうことを狙いとしました。相づちを打つにしても、日本語特有の打ち方やニュアンスがあるので、その練習をすることもありました。

 国際日本専攻では、日本語教育学の基礎の授業を担当します。授業では、私がこれまで行ってきた会話教育を中心とする日本語教育を体験してもらいます。その体験をもとに、学生自身が自分達のオリジナルの授業デザインを創り上げられるようになってもらうことが目標です。

 さまざまな国や地域、文化を持つ学生と触れ合い、教育は与えるだけでなく、得られるものも多いことを実感しています。教師はパイプ役のようなものであり、過去の学生から得た知見を未来の学生に伝え、また他の教師へ伝えていく、そういう営みが大切だと思っています。本学の大学院で学生から刺激を受けるのを楽しみにしています。

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