国際日本学

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教員インタビュー

伊達 宏子 DATE Hiroko

役職
大学院国際日本学研究院 講師
研究分野
日本語教育学、音声教育、eラーニング

【English Page】

外国語として日本語を見る経験は将来の他言語の教育にも役立つはず

 外国語を習得する人にとって最後まで残ってしまうのが、アクセントやイントネーションなどの音声の韻律(プロソディ)と呼ばれる部分だと言われます。それは、日本で長く暮らす外国出身の方、例えば芸能界でご活躍の方々を思い浮かべると理解してもらえるかもしれません。私は、日本語教育の中でもそういった音声教育の分野の研究をしています。
 博士課程を学んだ東京大学大学院の工学系の研究室で、日本語のアクセントの辞書OJAD(Online Japanese Accent Dictionary)の開発を仲間と行い、現在もその運営に携わっています。普通のテキストだとアクセントやイントネーションが目に見えませんが、このOJADならばそれをマークなどで視覚的に表示できますし、合成音声で実際に文章を再生することもできます。4月からの博士前期課程では、日本人学生?留学生双方を対象にした日本語教育の教育実習を受け持ちますが、OJADを活用した音声学習方法等についても学生の皆さんと考えていければ楽しいと思っています。
 実は私は大学を卒業した後、高校で英語の教師をしていたのですが、そこで生徒が何度も同じ間違いをする時、その原因は何なのだろうと思っていました。そんな時に日本語教育の教科書に出会って衝撃を受けました。私たち日本人は、英語などの他言語はかなり分析的に学ぶのに対して、母語である日本語はこれまで分析的に見ることがほとんどなかったと思い知らされました。そこから、「日本語がこうだから英語ではこのように間違えやすいのか」といった示唆も得られました。  4月からの教育実習の授業は今から楽しみにしているのですが、色々な言語専攻の人、英語や他の言語の教師を目指す人にもぜひ履修してほしいですね。高校教師をしていた私がそうであったように、日本語を外国語として相対的にとらえる経験は、他言語を学ぶ時、教える時に必ず役に立ちますし、視野も広がるでしょう。
 東京外大には2015年の4月に来ました。27もの専攻語があって留学生もさまざまな国?地域から来ている人がいてとても刺激的です。私は着任前に中国で5年半、日本語教師をしていたのですが、日本人あるいは日本語教師としてのアイデンティティーを考えることも多かったです。日本語を学ぼうという中国人に対して、自分は何ができて何ができないのか、日本人としてどのような発信をすればいいのか。
 異文化との接触というのはそれだけで大きな"揺さぶり"があるものなんですね。東京外大はそういった意味での環境が整っているので、ぜひ学生の皆さんもあちこちに顔を出して、いろんな経験をしてもらえたらと願っています。

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